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MKIコラム


2018/02/09
基盤技術グループ 次世代基盤技術部

次世代ストレージのあるべき姿とは!?

こんにちは、次世代基盤技術部の松本です。
私たち次世代基盤技術部は、主にITインフラストラクチャ機器(サーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化技術)を中心としてお客様のシステム基盤構築とそれに伴う新製品の評価・検証などを行っています。また、それらの業務を単に遂行するだけでなく、「次世代型インフラストラクチャ」がどうあるべきかを常に模索しているインフラエンジニア集団でもあります。

今回のコラムでは、昨年にNetApp社の「SolidFire」と呼ばれるストレージ製品の検証に携わった経験から、私たちの取組みのご紹介を交えつつ、次世代のストレージはどうあるべきかをお伝えできればと思います。


これからのストレージに求められること

企業のITインフラにおいて、ハイブリッドクラウド環境でオンプレミスとクラウド上のITインフラを混在して利用することも多くなってきました。
全てのシステムをパブリッククラウドに移すのではなく、クラウドとオンプレミスの長短を見極めてハイブリッドに使い分けることの重要性がより高まっています。
パブリッククラウドに移行したものの、プライベートクラウドに回帰しているということもあるようです。

とはいえ、一度パブリッククラウドの柔軟なITリソースの使い方を体感してしまうと、プライベートクラウドやオンプレミスでも同様な体感を期待してしまうことは想像に難くありません。

そんなハイブリッドクラウド時代において、プライベートクラウドやオンプレミス環境向けのストレージ製品はどうあるべきか、クラウドコンピューティングの基本的な特徴とされる5つのキーワードに当てはめて考えてみましょう。

  • 必要に応じてセルフサービスで利用
    利用者自身が、容易な運用管理を行えること。
     
  • 幅広いアクセス手段の提供
    標準的なネットワーク・プロトコル規格によって、多くのOSから接続可能な仕組みであること。
     
  • 資源の共有プール化
    複数の利用者が様々なワークロードでリソース(容量やI/O処理性能など)を同時利用できること。
     
  • 需要に合わせた柔軟な拡張性
    需要に応じてスケールアウトが可能で、リソースを最適に利用するための仕組みを備えていること。
     
  • 資源監視の透明性
    利用者自身が、必要な情報を把握して制御できること。
     

ここでは、ストレージ製品の特徴としてよくある、I/O処理性能の高さや、ストレージ容量の大きさ、といったハードウェアとしてのスペックでは無く、アーキテクチャやソフトウェアによって決定・構成される機能や要素が強く要求されていることが肝要です。

これらのような特徴を持ったストレージ製品の例として、企業のプライベートクラウドやIaaSサービス基盤に向いたブロックストレージであるNetApp社の「SolidFire」をご紹介したいと思います。


NetApp SolidFire

SolidFireはNetApp社が2年ほど前に買収したオールフラッシュストレージ製品の一つです。
NetApp社のストレージ製品とは当社の前身であるネクストコム株式会社から長い付き合いがあり、現在もお客様に提案・導入するシステム基盤のストレージに採用することも多い製品です。
そのNetApp社から紹介を受けてSolidFireの基本検証を行い、昨年末には検証結果を踏まえてメーカー主催イベント(NetApp Innovation 2018東京)へ参考出展とセッション講演も行いました。

(NetApp Innovation 2018東京1

(NetApp Innovation 2018東京2

NetApp Innovation 2018東京 出展の様子


SolidFireの特徴

SolidFireはiSCSIに対応したブロックストレージ(※)で、RAIDを採用していない独自アーキテクチャのストレージ製品です。
その特徴は大きく3つ挙げられます。

  • Scalable:スケーラブルであること
  • Predictable:予測可能であること
  • Automated:自動化できること


※FibreChannelやiSCSIなどブロックアクセスに対応したストレージで、NFS/CIFSなどファイル共有プロトコルをサポートしたファイルストレージやユニファイドストレージではありません。

Scalable:スケーラブルであること

最小4ノード(筺体)で構成され、最大100ノードでペタバイト規模のストレージ容量までスケールアウトできます。ノードの拡張やアップグレード作業はクラスタとして無停止で行うことができ、複雑な装置接続や設計要素を考慮する必要がありません。
また、障害発生時は自動的に他のドライブ・ノードでデータを保管してストレージサービスを継続提供できる高い自己回復性をもちます。

そのため、迅速にストレージリソースをプロビジョニングでき、システム拡張や保守運用にかかる手間を大幅に軽減します。

Predictable:予測可能であること

QoSによって多数のストレージボリュームで予期せぬNoisy Neighbor問題(I/O処理性能の奪い合い)を防ぎ、利用者やワークロードの要求どおりに保証されたI/O処理性能を提供できます。
また、I/O処理性能の低いハードディスクではなくフラッシュ(SSD)ベースであるSolidFireは、I/O処理性能と容量を切り離してストレージサービスを提供できるアーキテクチャです。

そのため、I/O処理性能を高めるためにディスク容量を犠牲することなく、ワークロードに応じて複数のストレージシステム導入しなければならなくなるサイロ化を抑えられることで、TCOを削減させる効果が見込めます。

Automated:自動化できること

全ての設定・操作をREST APIによって行うことができるAPIファーストの考えで、利用者自身が必要なだけの情報取得や設定を容易にAPIで実装することができるようになっています。
VMware、OpenStackなど基盤ソフトウェア向けのプラグインやドライバも豊富に提供されているため、SolidFire自体の管理ユーザインタフェースを使うことなく、仮想化基盤やミドルウェア層からストレージサービスを簡単に設定・運用できます。

「垂直統合」や「Infrastructure as Code」という用語で表現されるように、個々の製品エンジニアが機器を設計・設定するような“匠”の技が生きる時代ではなくなってきています。
個々の製品の領分を広げようと機能範囲や管理インタフェースをいたずらに複雑化するのではなく、API化によってシステム・ITインフラの制御部からシンプルにストレージサービスを制御できることがITインフラの統合・管理に必要です。

  

市場的にはSolidFireのカテゴライズが「オールフラッシュストレージ」であるために誤解されやすいですが、オールフラッシュベースの高速なI/O処理性能を売りにした一過性のプロダクトではなく、先に説明した特徴を備えた製品アーキテクチャに価値がある製品です。
ある意味、SolidFireはオールフラッシュストレージではなく、SDS(Software Defined Storage)と言えるかもしれません。

このような製品は、プライベートクラウドやオンプレミス環境向けのストレージ製品でありながらも、まさにクラウドのように扱えるストレージと呼べるのではないでしょうか。


さいごに

今回は次世代ストレージのあるべき姿ということで、ハイブリッドクラウド時代に求められるストレージの特徴と製品の一例としてNetApp社のSolidFireをご紹介しました。

I/O処理性能や容量といったものは製造技術の進歩やマーケットが解決してくれますが、製品アーキテクチャはそう大きく変えられるものではありませんので、新しいストレージ製品のアーキテクチャを調べることは大変興味深いものでした。

また、サーバとストレージをシンプルに統合したHCI製品も台頭してきていますが、サーバの処理性能とストレージの容量が同程度の割合でスケールするだけでは要件にマッチしないワークロードも十分にあるため、ストレージの単体製品は今後も廃れることはないと考えています。
※ちなみに、NetApp社はNetApp HCIというHCI製品を先頃リリースしていますが、ストレージ機能部分はSolidFireがベースです。HCIとストレージという観点で見てみるのも面白いので機会がありましたら、当コラムであらためてご紹介します。

これまでの様々な要望や機能を取り込んだ非常に高度なストレージ製品を否定するものではありませんが、ストレージを「管理」したい管理者やストレージ製品エンジニアの目線でなく、「使用」したいユーザや機器の目線で、ストレージ製品に求められていることは何であるのかを見つめ直すべきだと思っています。


 

執筆者
松本 直樹
基盤技術グループ 次世代基盤技術部 第二技術室
現在、新製品の技術評価、自治体インフラ構築案件のSE業務に従事


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